2021年現在、Googleが正式に公表しているGoogle広告でのサードパーティCookie廃止予定については以下の通り、ウェブブラウザのChromeにて2023年12月末までには段階的に廃止する計画となっています。
当初は2022年までにサードパーティCookieの廃止を掲げていたものの、1年後ろ倒しとなっていますので、再延期という可能性も否定できませんが、今後確実にサードパーティCookieを利用したリマーケティングが利用不可となります。
現状としてはBtoCの分野ではスマートフォンが主流なので、既にAppleのiPhoneの主流ブラウザであるSafariでは24時間経過するとサードパーティCookieによる追跡が2017年末時点でできなくなっています。
BtoBではPCが主流でスマートフォンでもAndroidではウェブブラウザはSafariではなくChromeが主流ですが、2024年1月時点では、ほぼほぼユーザーをリターゲティングできなくなるということになります。
さて、サードパーティCookieによるリマーケティングができなくなったあとのネット広告業界はどうなるのでしょうか?
既にダイナミックリターゲティング広告の雄であったCriteoの動向から今後の流れが見えてきます。クリテオはSafariでサードパーティCookieによる追跡ができなくなった2017年末時点で株価が大暴落しました。
その後、2021年現在では2017年の株価暴落前まで持ち直してきています。
Criteoは何をしたのか?
その答えはリタゲ広告のみからの脱却でした。
クリテオは潜在層に対するナーチャリングからコンバージョンまでをフルファネルで活用することが可能な新プロダクトをローンチしています。カナカナだらけですが、要はリマーケティングでの追跡型広告ではなく、マスメディアなどと同じような認知獲得や興味喚起の段階での広告も扱うということです。
そういう意味でCriteoでもコロナ禍があったとはいえ4年前後も株価が停滞し、業績回復に苦戦したともいえるので、Googleも同じ状況になる可能性は否定できません。
しかしGoogleは当然ですが布石を打っていて代表格がYouTubeです。
アメリカやイギリスでは動画といえば既にYouTubeではなく、短尺動画のTikTokにシフトしている印象ですが、YouTubeもTikTok風の短尺動画サービスShortsを展開しており、アプリのメニューでShorts推しに仕様変更しているので、特に日本国内では短尺利用者も巻き込んでYouTube全盛時代がまだまだ続きそうです。(※グーグルは約109億円を支払うクリエイター支援ファンド「YouTube Shorts Fund」の立ち上げも発表しています。)
話がそれましたが、結局はCriteoと同じように自社メディアではないディスプレイ広告ではサードパーティCookieがなければリマーケティングができず広告効果が見込めません。
対して自社メディアであれば、ユーザー情報を集めることができますし、比較的広告効果を高い状態が維持できると考えられます。(※そういう意味で個人的にはGDNをGoogleが見捨てる可能性も考えています。)
今後はクリテオと同じようにフルファネル推しでYouTubeやGoogle Discover、Gmailなどの自社メディアと併用していく方向にネット広告は大きく動いていくと考えています。(※当然ですが、検索エンジンは自社メディアですので大きな収益減にはならないと考えています。)
さらに広告一本ではなく、Google Cloud Platform(GCP)などのクラウドサービスのシェア拡大にも注力しています。
Google社全体の話になってしまったので、ネット広告の話に戻りますが、今後ますます低価格で認知獲得や興味喚起を広告で行ない、指名検索につなげていくのか?という方向性がネット広告の定石になってくると思います。
プライバシーなんて顧みずリターゲティング広告全盛期の牧歌的な時代もあったね!みたいな状況になっていくことでしょう。